388人が本棚に入れています
本棚に追加
表玄関前の自販機横に写真機がある。その横にベンチ椅子があり、座って待つこと15分。
黒い車がゆっくり手前の方に止まり、窓が開いて名前を呼ばれた。
「 舞弥!」
誰、どこ?
携帯片手に立ち上がり、自動ドア辺りを見回しているが誰もいない。
湊斗は、呼んでも気づかない舞弥に、車を降りて頭をコツンと軽く叩いた。
「 こら、舞弥って呼んでんだろ!気づけよ 」
「 …った!湊斗くん… あれ、どこから出てきたの?」
「 だから、呼んだろ。耳おかしい、ほら、乗って 」
さっき呼んだのって湊斗くん?
うそ~ 気づかなかった。
車に乗ると、ふと呼ばれた事を思い返す。
私は気づいた。
湊斗が、私の名前を初めて呼んだと。
最初のコメントを投稿しよう!