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「はい」湊斗に返事した私の心は素直だ。
きゅっと握られる手から湊斗の温もりが伝わると同時に気持ちが通じ合った熱も伝わる。
嬉しくて、恥ずかしくて、照れくさい… 二人で顔を見合わせて笑みを返し合う。
そして、すっかり忘れてしまっていた存在が 思い出させるように 私と湊斗の重なり合う手に、ピンクとゴールドのラメのネイルをした手が重なった。
「 …っ! 有里さ… 」
「 んふふふふ 」
「 聖二さん、脅かすなって 」
あまりにも驚いた私は、二人がいて隠れていた事に自己嫌悪を感じる。
「 あらあら、舞弥ちゃん。湊斗くんも。
この手はどういう意味の手かしら?」
やっぱり… 有里さんに見られたくなかったのに。
「 もち、恋人ですよ。彼女の手くらいいいでしょ?」
「 湊斗くん… 」
「 つまんなぁい! もっとこう、焦れったくて ヤキモキするかと思ってたのに、残念… 聖二、二人付き合ってるって。帰りましょ!」
有里はつまらないと言いながら私に優しく微笑み、耳元に顔を近づけ呟いた。
良かったね舞弥ちゃん、と。
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