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休憩時間がギリギリとなり、甘い蜜を隠すように湊斗と非常階段を駆け下りる。
手を繋いだまま笑顔で。
「 じゃあな、舞弥。帰り迎えに来るから、ちゃんと待ってろよ、わかったな?」
「 うん。ありがとう!」
不意に声を小さく耳寄りに話す湊斗。
「 ここでキスはやめとこうか 」
「 なっ!何言って、あたりまえでしょ!もうっ 」
「 お前、顔赤いぞ?ほら、そのまましっかり仕事してこい、あとでな 」
湊斗が私の背中をポンッと軽く叩いて、笑いをこらえながら行ってしまった。
してやられた感じがするよ、参る。
でも… しちゃった。
キス、された!
好きだって、言ったしね。
やぁだ、照れる~ 顔笑っちゃうよ~
私は緩む口元を隠すようにして店に戻った。
「 ただいま、志音くん。問題なし?」
「 ん、ない。なんか、顔赤い?」
ヤバイ、顔に出てるかな…
「 さっき、走ったからかな、時間ギリギリだったから 」
「 いいのに、暇だし 」
良かった、うまくごまかせたみたい。
でもダメだ、顔が笑っちゃう。
どうしよう、嬉しすぎてダメだ~
誰かに話したい… そんな気分だった。
そんな私の所に、現れるはずがない人が訪ねてきた。
ラッピング用のリボンをロールから出していると、志音が側に来て言った。
「 舞弥ちゃん、お客だけど 」
「 ん? 注文かな… 任せて。お待たせしました、あ… 」
「 こんにちは 」
目の前に立つ人、それは美咲だった。
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