思い切なく

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巳來は綾との別れからまだ癒えていない気持ちがあると気づいた。 私は何もできない。 巳來にがんばれなどという言葉は言わない方がいいと思った。 運命は時にイタズラで、必要ない時に限って試練まがいなことをさせる。 そして、巳來にとって会いたくないであろう人の声が聞こえて 身を屈めた。 「 綾だ!舞弥ちゃん、小声で… 」 「 えっ、綾さん… 」 私の背に手をあてがい 見つからないように動き歩く。 今 巳來くんは綾さんに会いたくないよね… 見つからないように出ないと。 巳來に手を繋がれ 綾から逃れるようにして ビデオも借りず出た。 「 ビデオ、いいの?」 「 いいよ、緊急事態だったし。早くここから退散しよ!」 巳來は私が車に乗るとすぐさま発進させ走り出し、しばらく無言が続いた。 私の自宅近くにある空き地の脇に車を止める。 サイドブレーキをかけて ハンドルに顔を埋める巳來。 そんな巳來が気がかりで 巳來の背に手をあてて 少しだけさすると、巳來は私を見て ゆっくり腕中に抱きとめた。 巳來くん!? 「 巳… 」 「 少しだけっ! 今だけ、このまま… ごめん、ごめん… 」 巳來くん……
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