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巳來はギュッと私を抱きしめるが 私には巳來が苦しいのを我慢してるように思えた。
「 なんでも話していいよ?」
私は巳來の胸の内を吐き出させたいと思った。
「 俺… 綾が好きだった。普通に飾らないアイツが好きだった… なのに、なんで、あんなふうに… 俺は付き合いはじめの綾に戻ってほしかった… 」
そうだね、きっと綾さんが思うより巳來くんは綾さんを思ってたと思う。
好きなのに、気持ちがすれ違って、戻らないこともあるよね…
「 舞弥ちゃん、情けないよ 俺… 」
「 よしよし。大丈夫だよ、巳來くん 」
巳來の背中をポンポンと軽く叩き、さすり、がんばれとは言わずに慰める。
ギュッと少し力が入るのを感じた。
しばらく、巳來が落ち着くまでそうしていた。
私はふと、湊斗と周が頭によぎり顔が見たくなる。
いつも私のそばにいてくれる兄と恋人。
すごく会いたいと思った。
「 ごめん。……湊斗さんに怒られるね 」
「 大丈夫。言わないから 」
こうやって甘えられると嬉しいな。
巳來くんは男だけど、お姉ちゃんになった気分になるよ。
これって、お兄ちゃんの影響かな?
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