そろったところでやることはひとつ

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そろったところでやることはひとつ

 太郎たちはそれからあちらこちらを旅して歩きました。  旅というよりは、ぼうけんです。  ぼうけんの内容は、それはもう、さまざまで、例えば長いながいどうくつの中で出あった青い火の魔女とのあんなこんなや、人喰い森でのドラゴンとのなんやかんやや、あるいは都会のジャングルでは巨大でブキミなCEOのあの手この手のしゅうげきとか……ちょっとお子さま向けの物語にはできそうもない内容も多々あり、ここでは割愛させていただきます。  太郎はすぐに、やられそうになり、そのたびにワンちゃんが何者にも怯まない冷徹な腕力で、モンキーが類まれなる知力で、キジちゃんが追いつめられた末の終末的な破壊力で、いつも助太刀に現れました。  太郎がまったく、役に立たなかったわけではありません。  モンキーは、太郎が窮地におちいった時、何かに感動した時、ただ単にはずみで、ふんっときばって桃を産み落とすのをひとつひとつ観察していました。  そして、気づいたのです。  太郎の桃を食べたものはすべて、太郎の味方になるということ。  そして、拾って売ったものを食べたものですら、太郎のことなど何も知らなくても、いつの間にか太郎の味方になっているということを。 「これって……」モンキーは、ひとりオシッコガ漏れそうなポーズでみもだえます。 「これってメッチャ、ズキンズキンするんだけど~~~~」  ワンちゃんはさんざん、あばれまくりました。  モンキーはさんざん、桃を売り歩いて利ざやをかせぎました。  キジちゃんは「ごめんなさいごめんなさい」とあやまりまくっているわりにいつも、しあわせそうにわらっていました。
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