最大のピンチ

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「剣を売ろうとした時は、さすがに焦ったぞ。  妖精から貰った剣を売るとは正気か?」 「あの時に頭の中で囁いてた悪魔は‥お前か?」 「そうだ。  売られては困るのもあったが‥。  貴様の心に穴を開ける絶好のチャンスであったからな」 心に穴‥? 「悪いほうへ誘導することにより、貴様は迷い、苦しむ。  その苦しみが大きくなり、心に穴が開く。  それが絶望へ繋がるのだ。  こんなことで絶望するとは思わなかったが‥」 「それを‥何度も言わないでくれ‥」 さらに(はずかし)めを受けてしまっている。 もう死んだほうが楽じゃないか? 「安心しろ勇者よ。  もう苦しむことはない」 「どういうことだ?」 黒い靄は、いつの間にか顔以外を包み込んでいる。 「貴様の体を支配し、再び魔王として復活するのだ!」 「なっ‥!」 俺に魔王の魂を移し、復活する計画だったとは。 くそっ‥こんなはずじゃ‥。
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