43人が本棚に入れています
本棚に追加
「◯◯。お前、変わりはないのか」
ぎちり、と私の心臓を締めつける蔓。
「ええ、おかげさまで。
お父さん。お父さんの誕生日祝いで、私とっても奮発したのよ。楽しんで欲しいわ」
小洒落たレストランのテーブル。
向かい合わせに座った父に、私は微笑む。
「このお店、凄く美味しいって、会社でも評判なの。雰囲気も素敵だわ。
ほら、お父さんが好きな魚。脂がのっていて美味しい。食べて」
香草とオリーブオイルで飾られた白身魚。
フォークで突き刺し、父の口に運ぶ。
「……美味い」
「でしょう。うふふ。お父さん。美味しいものを食べている時の顔が、素敵だわ」
ぎちり、ぎちりと、私の心臓を蔓が締めつける。
最初のコメントを投稿しよう!