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「ひとまず保留ってことで――どうですかね?」
事がそんなに重要でないように見せかけるため
僕は冗談めかして上目づかいに笑って見せる。
「保留?」
「そう。次に庭の花を食べるようなことがあったら、僕自分でちゃんと2人に申告しますから。それでお医者様にもちゃんと見てもらうの。療養が必要な病気ならそれもちゃんと。ね?」
僕が本気で言ってるとはさすがに思っちゃいないだろう。
けど――そんなもんかと思ってくれたらしめたものだ。
案の定薫は
「俺だって面倒事しょい込みたくはないさ」
踵を返してドアノブに手をかけた。
でも一度だけこちらを振り向くと。
「でもいいか、最悪の事態が起こる前に解決しろよ」
同情を孕んだ目で
近い未来を予測するかのように言った。
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