episode257 毒が回る時

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夕飯は諦めて庭に出た。 もともとそんなに空腹だったわけでもない。 僕は知りたかった。 満たされている自分がなぜ夜な夜な花を食らうのか。 天宮家の庭は広大でさながら植物園のように 至る所あらゆる種類の花々が咲き誇っている。 「ありがたいことだよ。なあ?」 草食動物になった僕にとっては格好のえさ場だ。 「僕に食われるならおまえたちも本望だろう?」 僕は皮肉交じり名も知らぬ花に語りかけ 心地よい夜風に揺れる草花の音を聞く。 気分は悪くなかった。 このところ距離ができたせいか。 それとも二人が申し合わせているせいか。 九条さんと征司が火花を散らすこともない。 「なあ、おまえたち——僕はね、愛されてるんだ。とても」 風にそよぐ木の葉たちを見上げて自慢げに口にした。 「ただの男じゃない。最高の男2人にさ——」
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