episode257 毒が回る時

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眠れぬ夜のお供に征司のワインセラーから 年代物の赤ワインを1本拝借した。 ラベルも読めないくらいのモノだから。 勝手に飲んでしまったと知ったら大目玉かもしれない。 それもまあいい。 思い直しヘタなやり方でコルクを開けた。 そして大胆にも 僕はまだ帰らぬ主人の部屋で。 「もしもし九条敬をお願い」 なみなみグラスに注いだ血の色のワイン片手に ソファーに足を投げ出して——。 「僕?弟だよ——いや、違う違うそっちの間抜けの方じゃない。天宮の義理の弟。だから早くつべこべ言わずに彼を呼んだ方がいいと思うね」 ホテルの頭取として働く九条敬に電話をかけた。
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