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眠れぬ夜のお供に征司のワインセラーから
年代物の赤ワインを1本拝借した。
ラベルも読めないくらいのモノだから。
勝手に飲んでしまったと知ったら大目玉かもしれない。
それもまあいい。
思い直しヘタなやり方でコルクを開けた。
そして大胆にも
僕はまだ帰らぬ主人の部屋で。
「もしもし九条敬をお願い」
なみなみグラスに注いだ血の色のワイン片手に
ソファーに足を投げ出して——。
「僕?弟だよ——いや、違う違うそっちの間抜けの方じゃない。天宮の義理の弟。だから早くつべこべ言わずに彼を呼んだ方がいいと思うね」
ホテルの頭取として働く九条敬に電話をかけた。
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