episode257 毒が回る時

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「まずい……」 中川が戻る前に僕は裸足のまま裏庭を突っ切って 螺旋階段を駆け上がった。 ガウンの裾に絡んだ花弁や枯れ葉が所々 赤い絨毯を汚す。 僕は慌てて自室の前を通り過ぎる。 花を食らう直前までの事を思い出したからだ。 微睡み——。 そうだ。 今日は自分のベッドで寝ていたんじゃない。 珍しく昼過ぎに屋敷に戻った征司に誘われるがまま。 僕らはランチ代わりに真昼の情事を楽しんだ後だった。 そっと征司の部屋の扉を開ける。 足を拭いベッドルームを覗き込むと。 「どこへ行ってた?」 まずい――。 薄暗い微睡みのあちら側から 手招きして気だるげな声が聞いた。
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