episode257 毒が回る時

21/30

43人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「おっと」 廊下の角で出くわす。 「お帰りなさい、お兄様」 もう一人の僕の最愛の男。 厚い胸板にそっと沿わせた僕の手を掴み 「俺の部屋で何してた?」 問い詰める尖った魅惑的な目で――。 「言えないようなことだよ」 僕は咄嗟に背伸びして意地悪い唇を塞いだ。 そのまま首筋に両腕を回して これ以上喋らなくてもいいように舌先を捻じ込む。 アルマーニにほんのり香るムスクの匂い。 そのまま脇をすり抜けるつもりだった。 「あっ……」 だけど挨拶代わりのキスが 思いのほか深いとこまで火をつけたみたい。 「放して。部屋に帰るの」 「黙れ」 抱き上げられ後は言いなりだった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加