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「おっと」
廊下の角で出くわす。
「お帰りなさい、お兄様」
もう一人の僕の最愛の男。
厚い胸板にそっと沿わせた僕の手を掴み
「俺の部屋で何してた?」
問い詰める尖った魅惑的な目で――。
「言えないようなことだよ」
僕は咄嗟に背伸びして意地悪い唇を塞いだ。
そのまま首筋に両腕を回して
これ以上喋らなくてもいいように舌先を捻じ込む。
アルマーニにほんのり香るムスクの匂い。
そのまま脇をすり抜けるつもりだった。
「あっ……」
だけど挨拶代わりのキスが
思いのほか深いとこまで火をつけたみたい。
「放して。部屋に帰るの」
「黙れ」
抱き上げられ後は言いなりだった。
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