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「どうだ?」
大人しく指を吸う僕を見つめながら
征司は器用に片手でネクタイを緩めた。
「花の……花の味がする……」
「花?」
明らかに飲み過ぎだ。
僕の戯言に眉をしかめてそれでも
「蜜は出ないぞ。蜜はもっと別の場所から出るんだ」
乱暴に指を引き抜いて自分の卑猥な冗談に笑った。
僕はコトリと糸の切れた人形みたいに首を傾げる。
「おいで」
言われるがまま征司の膝の上に座った。
「おまえは一体どうしたいんだ?ん?」
熱い頬を撫でその手できつく腰を抱く。
「僕?」
教えてあげる。
こんな時能書きはいらない。
「分かんない」
伏し目がちに見つめて
そう可愛く答えればいいんだ。
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