episode257 毒が回る時

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「どうだ?」 大人しく指を吸う僕を見つめながら 征司は器用に片手でネクタイを緩めた。 「花の……花の味がする……」 「花?」 明らかに飲み過ぎだ。 僕の戯言に眉をしかめてそれでも 「蜜は出ないぞ。蜜はもっと別の場所から出るんだ」 乱暴に指を引き抜いて自分の卑猥な冗談に笑った。 僕はコトリと糸の切れた人形みたいに首を傾げる。 「おいで」 言われるがまま征司の膝の上に座った。 「おまえは一体どうしたいんだ?ん?」 熱い頬を撫でその手できつく腰を抱く。 「僕?」 教えてあげる。 こんな時能書きはいらない。 「分かんない」 伏し目がちに見つめて そう可愛く答えればいいんだ。
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