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結局。
男ってなんにも分かってないのが大好きさ。
「分からない?」
「ん」
特に本能のまま可愛がる相手には何も望んじゃいない。
無知なくらいが愛でるにはもってこいだって。
「抱っこ」
「酔ってるな?」
「……うん」
賢い女はみんな知ってるから馬鹿なふりをする。
僕は女ではないけれど――だからもっと分かる。
「僕の――」
「俺のだよ」
無垢な顔して兄の唇をなぞってやると。
征司はたまらなくなったみたいに僕の手を払いのけ貪るように口づけた。
ほんのちょっと前九条さんに愛してるって告げた唇。
今は完全に征司のモノ——。
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