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ベッドまで運ばれて
ワインで汚れたシャツを脱がされた所までは記憶があった。
あとは微睡み——。
「しょうがない奴だな」
征司が呆れ気味に零す愚痴と。
「俺も馬鹿だな。飲ませ過ぎた」
ふうん。
この人でも反省することがあるのか——って。
そう思いながら
何度か愛し気に僕の髪を梳いた指の感触は覚えている。
それでももう瞼を上げられなかった。
深い闇に落ちてゆく意識を追いかけるように
僕は微睡み——。
しかし訪れたのは決して穏やかな眠りではなかった。
意識のもっと深いところは
やはり形のない渇望に苛まれていて。
僕は征司が眠りに着く頃を見計らい。
やはり誘われるようにふらふらと夜の庭に出た。
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