episode257 毒が回る時

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僕の瞳には夜の庭は果樹園だった。 暗黒の実のなる木々。 芳しい蜜の香り。 裸足で芝を踏むのも 半裸の身体に夜風を受けるのも 原姿に戻ったような安心感とまた 心地よい危機を孕んで僕を突き動かした。 僕は若く青い実を探し求めていた。 熟れたものではなく まだ誰も触れたことのない固い実。 でも見つからないから手あたり次第毟り 食してみる。 これも違う。 あれも違う。 甘いのも 柔らかいのも 僕の求めるモノとは違う。 だからと言って渋いのも 口内を傷つけるほど棘があるのも 僕の求めるモノとは違った。
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