episode257 毒が回る時

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僕は鈴なりの小さな白い花を 赤い唇に運び迷いなく貪った。 「では、ごきげんよう」 それを見届けて ランタンの灯りが離れてゆく。 この時、やっと分かったんだ。 僕が欲していたのは純粋な愛ではなかった。 僕が求めていたのは致死量の毒だった。 愛と毒——それは僕の中では恐ろしいほどに同意だ。 お母さん——。 僕はあなたに操られていたんじゃない。 お母さん——。 あなたを飲み込んで成長したのは僕の方だ。 沈みゆく意識の中で母が優しく微笑んだ。 あとはズブズブとくずおれ失われていった。 天宮和樹はこうして没した。 誰にも看取られず 庭の片隅で 自ずから毒を食らって——。 愛の為に。 愛の為に——?
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