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「ちょっと来い」
「どうして……」
「いいから……!」
その場に崩れ落ちそうな僕を
椅子から立ち上がらせたのは薫だった。
「どうしてだよっ……」
「いいから来い!」
薫は脱力した僕を引きずるようにして食堂から連れ出す。
「一体どうしたって言うの!あの子、ナイフとフォークの使い方も忘れちゃったみたい!」
憎らしい――。
女王の嫌味が背中から追ってきて。
「ンンッ——」
それでも僕が汚い口を利かずに済んだのは
薫が力尽く僕を抱えてくれていたおかげだ。
「おまえ、まだ誰にも相談してないのか?」
僕をレストルームに押し込み鍵をかけてしまうと
鏡越し相変わらず僕より青い顔した次兄は文句たらしい溜息を吐いた。
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