4章

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 紗和の肩の力がすとんと抜ける。一周まわって腹立たしい。  ——ひどい。心配してる人間のことをなんでそんなに笑うんだろう。 「なるわけないだろ、この俺が!」  どこの自信家かと思うような発言でも、彼のあっけらかんとした口調だと何故か嫌味がない。迷いなき返答に彼女の方が怖気つく。 「ほ、ほんとに?」  権代は自慢げに胸を張った。   「俺程の営業実績(数字)が出せる奴なんて社内にそうそういないんだぜ? ちょっと次長に睨まれたくらいでどうにかなってたまるか」  歯を見せて、少年のように茶目っ気を利かせた表情も案外様になる。紗和は大きく息をついた。 「よ、よかったぁ……」
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