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紗和の肩の力がすとんと抜ける。一周まわって腹立たしい。
——ひどい。心配してる人間のことをなんでそんなに笑うんだろう。
「なるわけないだろ、この俺が!」
どこの自信家かと思うような発言でも、彼のあっけらかんとした口調だと何故か嫌味がない。迷いなき返答に彼女の方が怖気つく。
「ほ、ほんとに?」
権代は自慢げに胸を張った。
「俺程の営業実績が出せる奴なんて社内にそうそういないんだぜ? ちょっと次長に睨まれたくらいでどうにかなってたまるか」
歯を見せて、少年のように茶目っ気を利かせた表情も案外様になる。紗和は大きく息をついた。
「よ、よかったぁ……」
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