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「あーもうクソっ!」
「ひっ?!」
18時になる少し前、橋田が小声で舌打ちをした。
「あ、ごめん北村さん、誰も悪くないんだけど」
距離を取ろうにも座席が動かないので、紗和は顔を引き攣らせたままその場に固まる。
——な、何があったの?
手伝おうとしても「別にいい」と言われるし、そもそも自分には橋田が抱えるような複雑な案件は対応できかねるので、紗和は大人しく置いて帰ることにした。
「お先に失礼しますねー……」
「お疲れさまー」
顔すら上げず返事をする彼は誰に挨拶したのか認識しているかすら怪しい。彼女もあまり気兼ねをせず、退社カードを通した。
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