第1章  錯覚世界

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『それを解決するためには?』 X:君達の無事を祈っている。Believe in you.  そして、一方的にパソコンの電源は切れた。氷童は、もう一度電源を入れるが、起動しても画面は変わっていた。  最後の言葉は、『君達を信じる』という言葉だ。どういう意味だ? 誰を信じているんだ? 俺たちがどうしろという。何もわからないまま難易度の高いゲームをクリアしろと言われているようなものだ。  氷童は電源を消し、六人は畳の上に座り込む。沈黙が続き、一人の少女が手を挙げた。 「あのー、これって……どういうことなんでしょうか?」 「そうですね。これは簡単に言えば超次元現象とでも言ってもいいかもしれませんね。いや、認めなければならないでしょう」  隣に座っている男子生徒がそう言った。 「そうね。あり得ない事があり得るようになっている。これはどう考えてもひっくり返せない。私達にこの状況を打破する策がない。それが真実よ」  氷童が言った。  ま、そうなるだろう。 「まずは自己紹介でもしないか? 話をしようにも名前を聞かなければ、話し合いにもならないだろ?」  俺はさりげなく提案してみる。俺からしてみれば誰が誰なのか、判りもしない。ここで名前を訊いておけば、後で訊かなくてもいいだろう。 「そうね。そうしましょうか」  氷童は、俺の提案に乗る。 「まずは俺からだ。一年三組、真田伊織だ」 「同じく、一年三組、氷童姫花」  俺から時計回りに順に自己紹介をしていく。 「一年一組、不破真也(ふわしんや)と言います」  さっきの優男が挨拶をする。身長とルックスは、光一と同じレベルでこっちの方が女子に人気がありそうにも見える。髪の色が少し茶色が入っている。多分地毛だろう。母親の方が、元々茶色だったらDNAで子供にもその影響を受ける事がある。 「二年二組、一ノ瀬志穂(いちのせしほ)です。よろしくお願いします……」  意外だった、彼女はなんと、一つ上の二年生らしい。どう見ても俺たちと同じ一年生か、中学生に見える容姿であり、髪も肩の位置まで伸ばしている。人を見た目で判断してはならないというのはこういう事だ。
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