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「一年四組、綾瀬日菜よ。よろしく〜」
少しチャラそうな元気の良すぎる少女であり、左の髪には、黒のシュシュで髪を結んでいた。どう見ても、この中で二十四時間何かの耐久レースを競ったら、最後まで残りそうな気がする。
そして、最後に−−−−
「二年六組、真壁仁」
眼鏡をかけた最後の一人は、またしても一学年上の先輩だった。
ここに集まったのは二年生が二人、一年生が四人、合計六人だ。三年生がいなかったことには、何よりも救いだっただろう。ここに一人でもいたら気まずい。学生というものは、そういう生き物だ。学年が離れているほど、話しかけにくい。何年以上も一緒にいれば話は変わるが、この状況でこの少人数で良かったとも言えるだろう。
「俺が考えるには、この状況の中、この六人がなぜ集められたのか。ここ最近、身の回りで起こったことを話してくれないか?」
真壁先輩は、話のネタを提案する。この先輩は、案外話の通じる人なのかもしれない。この状況でも冷静になって、安全運転で皆をまとめようとする。
「俺は記憶と人の入れ替えですかね。隣の氷童同じだと思いますよ。同じクラスですから」
俺が言うと、氷童は小さく頷く。
「俺も同じだ」
「私も同じです」
と、全員が同じことを言うが、綾瀬だけは違った。
「あのー、私の所は何も無かったわよ」
「そうか、綾瀬さんの所だけは無かったと……これじゃあ、俺と一緒だね。全てが同じとは限らないか……」
真壁先輩が考え込む。ここで二つの別れ道ができた。身近で起きている人間とそうでない人間。確率に直すと3分の二の確率になる。これは、始まりに過ぎないのだろう。今度は何が起こるのか分からない。
「今、ここで悩んでも前に進まないんじゃないですかねぇ」
俺は言った。本当の事だ。考えても今すぐに結論が出るわけではない。
「今日は家に帰って、明日、もう一度、ここに集まりましょう。もしかすると、次は違う世界になっているかもしれませんし……」
「それもそうね。私にはどうでもいい事だけど、ここは一度お開きにした方がいいわ」
氷童が反省してくれた。他の奴らもそれに賛同してくれる。
後に聞いた話によると、あの部室は俺たちの部室となっているらしく、なんと、入部届の証明書まであるのだ。
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