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「本当なのか? 氷童?」
真壁先輩は、俺(氷童)を見て訊いてくる。
「はい……」
氷童は、小さく答えた。皆は、その返答に驚く。俺たち二人が本当に入れ替わっている事にようやく気付いてくれたらしい。いつもは見えていない部分が自分自身、見えてくるのだろうか。
「これが最初の科せられた問題というわけですね。なるほど、なるほど……」
不破は、うんうんと頷きながらなぜか納得する。どこに納得しているのだろうか。そして、これが最初とするならば、今後もこれと同等の現象が起こるというのか。頭が痛くなるぜ。
「そうなると、二人がいつ戻るのかが問題となるな」
「そ、そうですね。わ、私も考えが……」
二年生二人組が、次々に言う。そして、この中で一番好奇心を抱いているのが奴だ。言わなくても分かるだろう。
綾瀬日菜だ。
他の奴とは違う感情を持っていた。絶対に面白がっている。絶対だ。
「それで、それで! 今の心境はいかに!」
やっぱりきた。
目を輝かせながらマイクの代わりに自分のお箸を向けてくる。よく、この状況で明るく入れるよな。関心してしまうぜ、全く。だが、一人くらいこういう奴がいてもいいだろう。ある人が言っていた事だ。一人くらい変わった人間がいると、チームの団結力が勝る、と−−−−
「どうして入れ替わったの⁉︎ 今は、自分の体に違和感は?」
これは始まったら止められないタイプだな。俺は心が折れて、綾瀬に話した。一言一句、間違えずに。
「−−−−と、いうわけだ」
俺が言い終えると、綾瀬の目の輝きは失われていなかった。
「なるほど、これは逆を考えると面白い実験になりそうね。ある意味、色々と試せそうだし」
彼女の頭の中で何を試されているのか、想像もしたくもないが、考えはつく。色々とやばい想像をしている事に。
「それで、伊織達はどうしたいんだ?」
真壁先輩は、俺を呼び捨てで訊いてくる。ま、それはそれでいいんだがどうすると言われても、どうしようもないのが今である。
「どうするも何もこのまま生きていくのもアレですしね……」
俺は答える。
「それじゃあ、伊織と姫ちゃんでキスして見せてよ」
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