第1章  錯覚世界

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 いつもの時間帯にたどり着く、いつも通りの生活が送れるという事なのだ。今朝の事を除いては−−−−  教室に入ると、いつもと同じくらいのクラスメイトが教室の中にいる。その中に光一の姿もあった。俺は自分の机の横に荷物を置き、席に座る。すると、光一がやってくる。約束を破った人間が、朝っぱらから笑顔で友人Bに話しかけてくるのはどうであろうか。 「よっ!」  挨拶してくる光一。 「…………」  俺は不機嫌であり、ヘラヘラしている光一を睨みつける。 「ど、どうしたんだ? 朝から不機嫌そうだぞ、お前……」  と、何もなかった風にいってくる。誰のせいだ、誰の……。 「不機嫌そうな顔をしているならば、それは真実なのだろう。誰のせいなのか、いって欲しいものだねぇ。なぁ、光一君」 「何を言っているんだ?」 「お前、昨日のことを忘れたとでも言うのか? お前が、俺に今朝、サーフィンに誘ったんだろうが!」  俺は、光一にはっきりと言った。反応を見ると、光一の奴はキョトンとした顔で首を傾げている。可笑しい、俺の聞き間違いではない。昨日、帰りに飲み物も奢ってもらった。はっきりと覚えている。だが、なぜだ。何か、違和感を覚える。 「俺が? なんでお前に? そもそも、俺はサーフィンなんてしたことがないぞ」 「え……」  今、なんて言った? Whe? 俺自身、何も分かっていない。俺の聞き間違いだろうか。サーフィンをした事がない? 可笑しい、中学から一緒に暇があれば一緒に行っていた記憶は確かにある。しかし、光一はした事がないって言った。どうしてだ。明らかにおかしい。俺をからかっているのか? いや、朝からそんな冗談はないはずだ。 「いやいや、冗談はよしてくれよ。お前は、俺と一緒に中学の頃からサーフィンに行った事があるぞ!」  俺はスマホを取り出し、去年の夏の写真を探し始める。 「う、嘘だろ……」  俺は自分の写真ファイルを見て、驚愕する。そこに写っていたのは海辺をバックにピースサインをする俺と光一だったはずなのだが、俺の隣に光一の姿はなかった。他の写真を見ても、俺だけの写真がたくさんある。なぜだ。どうしてだ。どうしてこうなっているんだ。頭の整理がおいつかない。  額に手を当てて、顔からは汗が流れる。
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