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「なぁ、光一」
「なんだ?」
「俺の頬を抓ってくれないか?」
「それはいいけど……」
と、光一は俺の言われた通りに頬を抓る。
「痛っ!」
現実だ。嘘偽りの無い、現実だ。どうしてこうなった。俺だけが可笑しいのか?
「だ、大丈夫か?」
「おい、一緒に行った事があるよな!」
光一の肩を揺さぶり、俺は光一に言い寄る。だが、光一は俺の変な行動に対して、驚いている。
「ねぇーよ。俺はお前がサーフィンをしていた事自体、初耳だ!」
ハッキリと言われる。
「は……ははは! 嘘だよな。こんな事が起こってたまるものか……。どうなってやがるんだよ。おかしいだろ? 夢なら覚めてくれよ……」
俺は授業が始まるまで薄笑い続けた。
それから俺は放課後になるまで一日中、授業の内容が全く頭の中に入らなかった。
放課後−−−−
夕日色に染められた教室に俺はポツンと、座っていた。教室内には下校する生徒や部活に行く生徒、課題をしている生徒に別れていた。
朝から訳の分からない現象。自分では何が起こったのかもいまだに実感が湧かない。ただただ時間が過ぎるだけだ。
「帰るか……」
俺は荷物を持って家に帰った。
一日中考えたせいなのか、今日はいつもより睡魔が早く襲ってきた。段々、眠くなってくる。気付いた頃には、眠っていた。そして、朝がやってくる。
世界線が変わってから一日目−−−−
俺は昨日のことがうそであることを願って学校へと登校した。
そして、もう一度、光一に昨日の話をしてみる。今度は優しめに話し掛けて−−−−。
だが、結果は変わらなかった。おまけにクラス内がおかしな事になっている。昨日まで居たはずの生徒がいないのだ。その代わりに知らない生徒がいなくなった生徒の席に座っている。人数も減り、周りの人間は、それに気付いていない。
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