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「いや、好きなら好きって言えるよ。別にアニオタを恥ずかしいとも思ってないし」   黙々と手先を動かし作業を続ける圭を見て、遼太の友達は何も言えなくなる。 「……いいなあ、オレも好きなものを好きって言いたい」   意識がここにないような囁き声で遼太が言った。なら好きって言えばいいのに。そう答えようと思ったが、遼太が思った以上に深刻な顔をしていたので、本人にしかわからない悩みがあるのだろうと、圭はそれ以上何も言わなかった。   運動ができて頭もよくて彼女もいてバレー部副キャプテンで背も高くて、肌が透き通るように白くて切れ長の目が涼しげで、そんな彼でも何かに悩んでいる姿が妙に儚げに見えて、艶っぽかったことを思い出す。もっと悩めばいい。
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