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後ろから声がして振り返り、圭はゆっくり彼の顔を見上げてから浅く頷いた。
「小坂遼太だよ。高校二年生のとき、同じクラスだったバレー部の 」
不安そうに自己紹介を始めた遼太を見て、圭はふわっと口元を緩める。覚えられているか心配なのだろう。圭は、こくんこくんっともう二回ほど頷く。
高校生のころの小坂遼太は短髪でやんちゃなイメージだったが、髪が少し伸びてほどよい色気の漂う大人になっていた。体型はほとんどあのころと変わらず、肌は絹みたいに滑らかだったが、少し焼けたのか真っ白というわけではなかった。
昔と同じでどこか不安そうな印象を受ける。目はこんなにキリッと力強いのに、圭の前ではどこか、心ここにあらずな様子をして、あまり目を合わせようとはしなかった。
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