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5.
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遼太からはたわいもないメッセージがよく届くようになった。面と向かってよりも話しやすいようで、いつも長文。
たいした内容はほとんどなくて、このマンガがおもしろかったとか、後輩のレイヤーのコスプレイベントを見に行ったとか、一人で映画を見に行ったとか食事に行ったとか、そんな感じで圭の反応をうかがっているようだった。
圭は反対に、既読スルーか、スタンプ、おつかれの一言がほとんど。めげるかなと思ったが、遼太はずっと変わらなかった。長文を送り続けてきて反応をうかがう。
自分からは誘えないんだろうな、と圭はずっと気がついていたがあえて口には出さなかった。圭はアニメ以外の面倒ごとは好きじゃなかったし、自分から誘ったら引き返せないだろうと薄々感づいていた。
だけどそろそろ、はっきりさせないといけないとは思っていた。面倒ごとは後に伸ばせば伸ばすほどもっと面倒になる。
「週末空いてるなら飲み行かない?」
圭が誘うと二つ返事で承諾のメッセージが届いた。
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