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残業がほとんどなかった会社帰りに、アニメショップに立ち寄った。今日は新刊の発売日で、ショップ限定の特典もあるので購入必須だ。
八頁の書き下ろしブックレットがある上に、初回限定のペーパーまで付いてくる。もう天国としかいいようがない。
圭が新刊の棚の前に立っていると、視線を感じて振り返る。仕事帰りのカップルらしい男女がマンガの表紙を見ながらあれやこれやと話し合っていた。アニメショップにカップルという絵面も全く珍しくない。新刊の棚に視線を戻そうとした瞬間、カップルの男と目が合った。
見覚えのある顔だった。向こうも目を見開き明らかに圭に気がついた様子だったが、自然に目をそらされたので、何食わぬ顔で圭は新刊の棚に目を戻す。
気がつくと、カップルの女性がレジの一番後ろの列に並んでいた。先ほどの彼はどこへ行ったのか気になり辺りを見渡す。その矢先だった。
｢おい！高城だよな。オレのこと覚えてる？｣
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