王妃たち

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翌年にはカトリーヌ様が嫁がれてこられた。 またまた盛大な式とお披露目の宴が開かれたのだけど、17才となられるオリビエ様はうんざりとしたご様子で、1つ年下のカトリーヌ様は宴にご興味は持たれてもオリビエ様に嫁いできたといった様子は微塵もなく。 更には今日、初めて、カトリーヌ様をお世話した私や侍女に対して、とんでもない嫌味をくださった。 「行き遅れのおばさんばかりでしょう?自分の式でもないんだから、そんなに気合いいれなくていいわよ。この先、ずーっと貰い手なく働くだけだから、自分が嫁ぐ気持ちになりたいのかしら?」 初めて誰かをぶん殴りたいと思った。 私は頬をひくつかせただけで堪えたけど、何度も繰り返されるカトリーヌ様の嫌みにプチっとキレた先輩侍女が手をあげた。 バシッと強く頬に一発。 「皇太子妃様、それ以上はその口をお慎みくださいませ。こんな我儘姫様にこられてオリビエ様のほうが多大なご迷惑でございます」 なんて私たち侍女は歓喜しそうな反撃をしてくれたのだけど、カトリーヌ様は鋭い睨み付けをくださり、大声で執務長のお婆ちゃんを呼んでくれて。 先輩侍女のことを即告げ口をしてくださり、先輩侍女はカトリーヌ様と大ゲンカしたという形で、処刑は免れたものの城からいなくなってしまった。 とんでもないお妃様がいらっしゃった。 反撃したらクビ。 言われたい放題にならなきゃいけない。 当然、カトリーヌ様に率先して誰かが付き添うようなこともなく、カトリーヌ様のお世話をした侍女が次々と辞めていくようなことになった。 誰か助けてーと執務長のお婆ちゃんに言ってみても、カトリーヌ様は皇太子妃として参られたのだからと我慢を求められ。 誰か助けてーとオリビエ様にお会いしたらと思っていても、オリビエ様にはなかなかお話する場もなく。 もうこのままカトリーヌ様に虐められ続けなきゃいけないのかとも思った。 「あら、モニカ。なにを憂鬱そうな顔をしてるの?」 マリー様はもう一人妃がこられても相変わらず。 オリビエ様を取り合うような争いもなく、カトリーヌ様と互いにオリビエ様を押しつけあっていらっしゃる。 最終手段は王妃様か王様と考えて、マリー様に私の憂鬱を話してみた。 「すっごい子がきたのね。いいわ。私がちょっとおとなしくするように言ってあげる」 マリー様はそんな頼もしいことを仰ってくださった。 「ミミ、あなた、カトリーヌの世話をしなさい。仲良くなれたらどんな人かわかりそうでしょ?仲良くなれそうになかったら、侍女を辞めるではなく、カトリーヌの世話をやめればいいわ。少しはがんばったとまわりに思われれば、あなたは2度とカトリーヌの世話をしなくてもいい位置につけてもらえるはずだから。あと、カトリーヌのそんな嫌み、右から左に聞き流していてもきっと大丈夫よ。心に留めないことが一番ね」 マリー様がどこかとても頼もしい。 ということで、ミミが率先してカトリーヌ様のお世話を任されることになった。
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