王妃たち

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ブレゼ様にアニエス様のお姿はあれでいいのかと進言してみたら。 「王様かご自身が言ってこられない限りは私は何かをするつもりはありません。アニエス様のような方はこの城から出られたほうがいいでしょう。押しつけられたものをそのまま受け入れるとは、アンリ様よりもひどいものです。ただ操られ、誰かの言いなりになるばかりの王妃など必要ありません」 とても厳しいことを答えてくださった。 だけど…とは、どこかで思ってもいる。 アニエス様もブレゼ様に王様になにも仰ってくださらないのが悪い。 王妃として嫁いでこられたはずなのに、本当に一言もそこに不満を口にもしてくださらない。 これもブレゼ様のアニエス様への教育なのだろうけど。 オリビエ様もなぜブレゼ様になにも仰ってくださらないのか謎だ。 「あなたが心配するならあなたがアニエス様を教育しなさい」 そこまで言われて、私は退散。 私が教育したほうがいいとは思うけれど、王妃様に教育なんて…とも思って。 気がついてくださらないかなーとはちらっとちらっと小出しにしても、アニエス様は気がついてくださらない。 まるでオリビエ様と絶縁したかのように、オリビエ様に頼ることはされない。 だったら、そのそばにいる教育係のシェリー様にと思っても、アニエス様は誰かに甘えられることはない。 私が溜め息をつきたくなりながら、アニエス様の汚れたドレスを洗う。 どれだけいい洗剤を使っても落ちてくれない。 生地も弱ってしまって、とてもみすぼらしい。 大きくなっていくアニエス様のために裾をあげたドレスを戻したり、手がまわせるところで手を出していたけど。 もうこれ、私の給与でドレス買ってアニエス様の部屋においてもいいよね?と言いたくなることになってきた。 なのにアニエス様はなにも仰られることはない。 死にたがっていらっしゃる。 私にはそう見えて、私のためにせっせとアニエス様の汚れたドレスを洗う。
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