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発端はアニエス様が飼われていた子犬が誰かに毒殺されたことから始まる。
私はアニエス様を守るためにアニエス様のおそばをほぼ離れないと決めた。
王様と和解されたアニエス様は綺麗なドレスに身を包んで、3年前よりも背も高くなって女性らしくなられた。
どんなに望んでみても、私はミミがカトリーヌ様につきっきりでいられるようにはいかない。
それが私がここ、王都で暮らしてきたものとも言える。
15から城に奉公に出て、もう6年の月日がたった。
21という立派な行き遅れになった。
普通の貴族の子女は15から20までに結婚している。
実家に残してきた妹も大きくはないけど貴族の家に嫁いだ。
私の仕送りでいい式を挙げられたと手紙には書かれていて、私がうれしい。
ただ私の結婚を聞かれても、一生ないとは答えづらい。
アンリ様の戯れ言のようなものに飛びつけなかったところで、私の婚期は終わっている。
私の仕事はお妃様のお世話をすること。
新しい侍女が入ったなら、その教育をすること。
後宮内ではもう立派な上の立場の人間とも言える。
よってなにか問題があったり、頼みたいことがあれば私が代表して聞いて、ブレゼ様に伝えている。
ちょっとした役職をいただいている。
アニエス様につきっきりになれない。
後宮内で一番の問題だったのはアニエス様の犬が何者かに殺されたこと。
これを警戒してつきっきりでいたかったのに、今度はなにがあったのかジャックさんがいつの間にかベラ様に捕らわれていた。
ベラ様も問題をなぜ起こしてくださるのか。
ジャックさんは確かにイケメンかもしれないけど、女の影が一切見えなかったような、たぶんきっと女性嫌い。
それをひどくするようなことをしてどうするのか。
などと、カトリーヌ様が開かれた晩餐の席で給仕をしようとしていて、繋がれたジャックさんを見てかたまる。
ベラ様に踏まれてる。
たぶんきっとベラ様のあの拷問部屋で拷問されたに違いない。
あれの報告はブレゼ様にはしたし、オリビエ様もベラ様のお部屋にいかれているから知っていらっしゃるはずだ。
ただ、ご自分の侍女に制裁を加えるためだけに使われるのなら特に問題はないと放置されたようだけど。
黙って様子を見て、またブレゼ様に報告だなと思っていたら、アニエス様が動かれた。
ベラ様を倒して、カトリーヌ様からナイフを受け取られ、ジャックさんを解放しようとその繋ぐものを切られる。
ベラ様は当然のように邪魔をしようとしてくれて、カトリーヌ様が邪魔をさせないように侍女に声をかけられる。
少しばかりカトリーヌ様を見直した。
カトリーヌ様をどうにかしたいとお婆ちゃんに話したときに私が習ったもの。
同じ身分の者しかどうにかできることもない。
特に今は王妃。
下手に逆らえばクビをきられるだけじゃなく、物理的にも首をきられかねない。
首を切られても文句は言えない。
ただ、そんな王妃に従える者はそう多くもない。
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