内乱と代償

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「なぜジャックと結婚になってるんだっ?知らせが届くまで僕はなにも知らなかったんだよっ?」 ジャックさんはアンリ様とも親しいらしい。 オリビエ様が子供の頃から連れていらっしゃる方。 「私もまさかジャックさんとここまできてしまうとは思ってもみませんでした」 断ってと言ったのに、断ってくれていないから進んでいる。 それだけはよくわかる。 私とジャックさんの間に愛だの恋だのは無茶だ。 だって婚前になる今も話すこともしていない。 まるで他国かのように同じ城内にいてもまったく会うこともない。 「君は僕がもらうと言っただろうっ?オリビエに会いにいくよ、モニカ」 アンリ様、本当に相変わらずだ。 6年前となんにも変わってない。 今、アンリ様のところにはシェリー様がケビン様の子と共にいらっしゃる。 私は今度こそ先の王様が願われていたアンリ様とシェリー様の結婚かと思っている。 私がアンリ様にもらわれるつもりはない。 取り止めていただけるのならと、私はアンリ様に連れられてオリビエ様の執務室へ向かった。 手をひかれて歩く。 どこか恥ずかしい。 アンリ様がいらっしゃるだけで私の位置が戻ってきたような気がする。 こんこんっとノックされて、返事を聞くこともなく、すぐにアンリ様は扉を開けられた。 私を中に通される。 中にいたのはオリビエ様、ロベール様、ジャックさんの3人の男性。 なにかと全員こっちを見られている。 私は扉をしめられて入ってこられたアンリ様を見る。 「オリビエ、これはどういうことなんだ?モニカとジャックの結婚とはどういうことだっ?」 アンリ様は扉をしめられると、私を連れてオリビエ様の前へ。 オリビエ様はきょとんとした顔でアンリ様を見られていた。 「モニカは僕がもらうと何年も前に言っただろうっ?」 「いや、兄上、それ、その場でフラれてましたよ」 オリビエ様は覚えていらっしゃったかのように、当然のように返される。 「今もまだ待っていたのにっ。モニカがいつかきてくれると思って、領土内を懸命に平和に治めようとしていたのにっ。おまえはなにをしてくれてるっ?」 アンリ様の言葉を受けて、オリビエ様は私を見られた。 「モニカ、おまえはどうしたい?ジャックか兄上か選べ。どっちもそうかわらない」 オリビエ様はとんでもないことを仰ってくださった。 「アンリ様は領主様ですっ」 「兄上のほうが頼りにはできないかもしれないけど、おまえを欲しがっていらっしゃる気持ちは普遍みたいだ。ジャックを選べば今までと同じ城内で暮らせる」 「だから王様っ、まず私の結婚相手を選ぶのはやめましょうっ?」 私はここなら言えると、やっとオリビエ様に話せた。 オリビエ様にも本当に会えなかった。 オリビエ様は王様で私が簡単に近づけるお方でもない。 「ジャックの相手を考えるのが大変なんだよ。おまえならいいはずだ。現にジャックは結婚しないとも言わない。おまえだから」 オリビエ様に言われて、ジャックさんを見ると、ジャックさんは素知らぬふりなんてしようとしてくれる。
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