第1章

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そして迎えた放課後、また國雄は隣の女学校の女学生たちと話していた。それを成都が呆れた目で見つめるといういつもの日常シーンだ。 あの授業のときは雨が降っていたが、今は雨は止んでいる。 今日の國雄と女学生たちはいつも以上に大きな声で話しているから、その会話がこちらにも聞こえてきた。 「それでね。今度、俺の親友が本を貸してくれるって!」 「ええ!? よかったですね! その方、紹介していただけますか。」 「ああ、いいよ。」 女学生たちの一人に言われた國雄はこちらに視線をを送ってきた。 ”まずい…。” そう思い、成都はかなりの足の速さでその場から逃げ出した。 いくら親友の望みとはいえ、聞けないものだってある。それに、成都は異性がたくさんいる場所が苦手なのだ。 大学予科の入口付近から逃げ去る成都を、他の学徒や女学生たちが不思議そうな目で見つめていた。
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