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「君、どうしたの? そんなに急いで…。」
「え?」
成都が走っていると、ある人物い話しかけられた。
成都は自分に話しかけてきた人物の方へ視線をやる。その人物は成都と同じ大学予科の制服を身に纏った少年だった。
その学徒はかなりの美少年で、かかとまで届きそうなほど異様に長い艶のある金髪をポニーテールにしているといった髪型だ。成都よりも身長が高く、その白い肌とアイスブルーの瞳からして、もう見た目から日本人じゃないことがわかる。そもそも、成都に話しかけたときの口調もどこか外国語なまりだった。
「あなたは…。」
「僕はアベル・レ・サヴォィア。フランスからの留学生だよ。日本の大学に入学したくて私立御法大学予科に通ってるんだ。君は?」
アベルと名乗った少年は、学徒にしては色気のある大人びた話し方をした少年だった。その話し方に、男である成都でも心臓を跳ねさせられた。
「僕は…早乙女 成都です。あなたと同じ大学予科に通う1年生です。」
「あ、同級生なんだね。」
アベルは微笑んで言った。
「あなたも1年生なのですか?」
「そうだよ。」
アベルとそんな会話を交わすと、しばらく数秒間だけ沈黙が訪れた。
その沈黙を破ったのはアベルの方だった。
「で、本題に戻るけど、君は何故さっき走っていたの?」
「それは…。」
成都は先ほどあった出来事をアベルに全て話した。
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