第1章

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「君、どうしたの? そんなに急いで…。」 「え?」 成都が走っていると、ある人物い話しかけられた。 成都は自分に話しかけてきた人物の方へ視線をやる。その人物は成都と同じ大学予科の制服を身に纏った少年だった。 その学徒はかなりの美少年で、かかとまで届きそうなほど異様に長い艶のある金髪をポニーテールにしているといった髪型だ。成都よりも身長が高く、その白い肌とアイスブルーの瞳からして、もう見た目から日本人じゃないことがわかる。そもそも、成都に話しかけたときの口調もどこか外国語なまりだった。 「あなたは…。」 「僕はアベル・レ・サヴォィア。フランスからの留学生だよ。日本の大学に入学したくて私立御法大学予科に通ってるんだ。君は?」 アベルと名乗った少年は、学徒にしては色気のある大人びた話し方をした少年だった。その話し方に、男である成都でも心臓を跳ねさせられた。 「僕は…早乙女 成都です。あなたと同じ大学予科に通う1年生です。」 「あ、同級生なんだね。」 アベルは微笑んで言った。 「あなたも1年生なのですか?」 「そうだよ。」 アベルとそんな会話を交わすと、しばらく数秒間だけ沈黙が訪れた。 その沈黙を破ったのはアベルの方だった。 「で、本題に戻るけど、君は何故さっき走っていたの?」 「それは…。」 成都は先ほどあった出来事をアベルに全て話した。
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