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「なるほど…それは大変だったね。」
成都がアベルに全てを話すと、アベルは言った。
「君は…女の子が苦手なの?」
「いや、別に苦手も何も興味がないだけなのですが…ただ、ああやって男の子に興味津々な女の子は苦手です。」
成都は答えた。彼は恋愛沙汰には興味がないため、異性に興味津々な人間を見ているとそういう人たちの気持ちがわからないから彼らまたは彼女たちの扱いに面倒くさくなり、逃げ出してしまうのだ。ただ、親友である國雄は例外だが。
「ああ…わかるかも。」
アベルが微笑んで言った。
成都は初対面なのに自分の気持ちを理解してくれる人がいて安心した。
“この人なら仲良くできそう。”
成都はそう思い、改めて口を開く。
「あの…良かったら、もうちょっと僕とお話ししていただけませんか?」
彼が勇気を出してそう言った次の瞬間、アベルが笑みを浮かべた。
「いいよ。立ち話もアレだから、甘味処で甘いものを食べながら話さない?」
「は、はい!」
こうして、二人は甘味処へ向かうことにした。甘味処は私立御法大学予科から少し離れたところにある。
突然離れてしまったことに関しては國雄には悪いが、彼には後で事情を話すことにしようと成都は思ったのだった。
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