第2章

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試験も近くなった7月のある日、この私立御法大学予科で事件が起きた。 成都の親友の國雄が行方不明になったのだ。 成都は國雄とは違うクラスに所属するので、この話を國雄のクラスの担任から成都の所属するクラスへと伝わった。 その話を聞いた成都はこの日、不安で不安で仕方がなく、いつも授業に集中できている彼が今日は授業に殆ど集中できなかった。 同じクラスの者たちが慰めてくれたりしたが、それでも成都の心の傷は癒えない。 *************************** そして迎えた放課後、この大学予科と隣の女学校の前にある広場では騒ぎが起きていた。 騒ぎを起こしているのは女学校の女学生たちだ。 「え!? 國雄さんが行方不明になったのですか?!」 「そんな…國雄さあぁあああああああああああん!」 「ちょっと、落ち着きなさい!」 「落ち着いてられないわよ!」 いつも國雄と一緒にいる女学生たちは、國雄と同じクラスの学徒たちから事情を聞いてから以上のような様子である。 成都はそんな彼女たちを呆れた目で見ていたが、今回の件については流石に彼女たちに同情した。成都も自分の大切な親友である國雄が行方不明になって失意でいっぱいになっているからだ。 大学予科の教師たちの話によると、「まずは教師たちだけで捜索してみて、それでも見つからなかったら警察に頼む」とのことらしい。
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