深愛の恋人たち

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孝太郎とゆいは、手を繋いでスカイツリーのエレベーターに乗った。 ゆいは孝太郎が祐太郎に見えて、自分もあの当時の姿に戻ったように思えた。 「よろしければ、どうぞ」 孝太郎はゆいが腕を組めるように差し出した。 「ありがとう」 スカイツリーの回廊を腕を組んで2人は歩く。景色を堪能する。 プラネタリウムの夜景ではないが、晴れ渡る素晴らしい景色に、ゆいの胸は踊った。 「祐太郎さんはとても人気者だったの。女性にも男性にも。私もずっと祐太郎さんが好きで、祐太郎さんばかり見ていたわ。はじめてのデートはプラネタリウム。ずっと手を繋いでいてくれた。でもそれだけで終わってしまった。とても純粋だったの」 「どうしてそれで終わってしまったのですか?」 孝太郎の問いにゆいは寂しそうに微笑んだ。 「私にはもう婚約者がいたの。大学を卒業したら、結婚することになっていた。最初で最後の恋だった。デートだった。とても楽しかったけど、とても悲しかった。好きになればなるほど辛かった」 思い出したゆいの目に涙が光った。 「やぁね。この事は祐太郎さんには内緒よ。泣いたなんて言わないでね」 ゆいはハンカチで涙を拭う。孝太郎はゆいの小さな肩を抱いた。 「内緒にします。僕とゆいさんの秘密です」 今日の事は、僕とゆいさんの秘密だよ。 今日のデート、僕は一生忘れない。 プラネタリウムでの別れ際の、祐太郎の言葉を思い出し、ゆいは涙が止まらなくなった。 孝太郎は震え泣くゆいを、誰にも見られないように優しく抱き、思う存分泣かせてあげた。
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