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榊 孝太郎様
この手紙が届く頃、おそらく祖母はこの世にはおりません。
祖母はこの手紙を書くにあたり、僕に微笑みながら言いました。
私はとても幸せな生涯だったわ。子供と孫とひ孫を持つことができた。
そして祐太郎さんと、祐太郎さんの面影のある孝太郎さんとデートもできた。
私がこの世にいなくなっても、祐太郎さんが旅立つまで、あなたが手紙を書き続けてください。
お願い。
もう祐太郎さんを1人にしたくないの。
お願いね。
僕は祖母のために、孝太郎さんのおじいさんのために、これからも手紙を書き続けます。
どうか、おじいさんを騙すことになっても許してください。
祖母の気持ちを汲んでやってください。
その手紙を読んで孝太郎は泣いた。
本当は、もう、祐太郎もこの世には居ないのだ。
ゆいと同じように、祐太郎も残すゆいを気にかけ、孝太郎に託していたのだ。
お互いを想い合う2人の愛の深さを知った。
決して結ばれなかった2人が、本当はとても深い場所で結ばれていた。
孝太郎は涙を流しながら、寄り添い手を繋ぎ、プラネタリウムで星空を見る2人の姿を思い浮かべた。
ゆいさん、今度こそ、ずっと一緒にいようね。
祐太郎さん、ずっとずっと、一緒よ。
完
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