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 オリオンは漁師をしていましたが、たまに狩りをしたくなって、船をつくり、クレテ島まで行きました。  そこで、絹の布を肩から掛けた、美しい女性に会いました。銀の髪飾りが金の髪に映えて、美しさをさらに際立たせていました。  オリオンは、その女性に何か贈り物をしたくて、魚などを差し上げようとしましたが、その女性は自らも狩りをするのだと言って、キジを目の前で狩ってみせました。オリオンは面白くなってきて、共にキジ狩りを楽しみました。どちらがより大きなキジを狩れるのか、競争をしたのです。  穫ったキジを一緒に焼いて食べているうちに、オリオンはその女性の、細い指や筋肉のついた足、下を向いて鳥を食む横顔に恋をしてしまいました。  サソリは困りました。一人にして追い詰めたはずのオリオンは、なんと、月と狩りの女神アルテミスと一緒にいるではありませんか。もしサソリが姿を現せば、あっという間に二人に狩られてしまうことでしょう。  そこでサソリは、砂漠に生えるバオバブの木に相談しました。 「アルテミスとオリオンが仲良くしていて面白くないやつは、君だけじゃないはずだ」 そこで、サソリはアルテミスの兄、アポロンに相談に行きました。するとアポロンは、神が人間ごときと一緒になるのは良くないので、オリオンを殺そうといいました。オリオンがアルテミスをおびきだし、オリオンの動きを数秒止めるので、その隙に仕留めよといいます。  アポロン手で、サソリはオリオンのすぐそばに落とされました。さて、オリオンは丸裸で、数秒は動けません。サソリはいざ、オリオンをさそうと思ったけれど、なんだか可哀想になってしまい、数秒、躊躇してしまいました。  その間にオリオンはアポロンの呪いが解けて動けるようになってしまいました。オリオンはサソリから逃げて行きます。砂浜を駆け抜けて、海の上を走る、走る。さすがは、海の神ポセイドンの息子。サソリは困りました。だって、サソリはオリオンと違って海の上を走る事はできないのだもの。 そうして走っていったオリオンは、海岸からは、何か動物が駆けているようにしかみえなくなりました。それを、アポロンに唆されたアルテミスが矢で射ったのです。 アルテミスは、翌朝、オリオンの亡がらをみつけました。そして、涙を流しました。
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