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いつものように、夕食後は家の向かいにあるファミリーレストランへ行く。
食べてすぐにレストランもないのだが、これがほぼ毎日の俺の日課だ。
店に入ると、よく見かける店員たちが、「いらっしゃいませっ!」と元気よく、愛想よく笑顔で俺を出迎えてくれた。
そして、いつもの予約席の場所に目をやると、今日はふたりいる。
佐々木優華と山梨爽太郎だった。
ふたりとも俺に背中を向けていたので、いつものように手を上げることなく席に近づいた。
この席はオレたち幼なじみ4人組の指定席として、ここのオーナーである優華が設けたのだ。
子供のころは小さな食堂だったのだが、年々大きくなっていて、気づけば駐車台数300台の巨大なレストランとなっていた。
拍車をかけ始めたのは、優華が高校を卒業して店を継いですぐのことだった。
優華の先読みの早さは話題が話題を呼び、今日もマスコミなどから取材を受けたようだ。
服装がどう見ても余所行きで、ブランド物のスーツを着ていたのですぐにわかった。
となりにいる爽太郎はいつも通りのスーツ姿だ。
爽太郎も親のあとを継ぎ学習塾の経営と講師をやっている。
俺も中学高校と爽太郎の世話になって、超一流国立大学に入学し、超一流企業への入社を果たした。
爽太郎には頭が上がらないといつも思うが、それは口に出してはならないルールだ。
こういったルールがかなりあるのだが、俺は三人の幼なじみが好きだ。
「やあ、ふたりとも、内緒話中悪いな」
俺は冗談で言ったのだが、どうやら本当に内緒話だったようで、優華が飛び上がるほど驚いた。
「…俺、帰ってもいいけど…」と言うと、「帰っちゃダメェーッ!!」と爽太郎がいつものように甘えた声で言った。
爽太郎はもちろん男だ。
あだ名や源氏名などではなく、山梨爽太郎という、立派な名前を持つ男として生まれた。
子供のころはよく一緒に風呂に入った仲なので、下の方の観察は怠っていない。
確かに男っぽくはないが、性同一性障害などということでもない。
さらには一般的なオカマちゃんでもない。
男としての自覚は十分に持っている、隣にいる優華よりも魅力的な女に見える男だ。
できれば俺と結婚して欲しいと思うほどの、女性らしい男だ。
それに対して優華はいつものように何も語らず、笑顔で俺を見ているだけだ。
今の優華もいつも通りで、俺にとっては二歳年下の妹のような幼なじみだ。
兄弟のいない俺としては本当に心から妹にしたいが、本人には笑顔で断られている。
「…恋愛対象?」と何度か疑問形で答えられた。
だが今の様子を見る限り、母の言ったことは事実のようで、―― 爽太郎と優華はつきあっているっ! ―― と言う事実には間違いないと、この時点ではそう思っていた。
「式はいつ?」と俺が聞くと、優華と爽太郎は顔を見合わせた。
ただただ驚いているという表情だ。
「母ちゃんがホテルのレストランでふたりを見かけたって。
式場の予約とか…」
俺がここまでいうと、二人はいきなり座り直して俺に向かって同時に頭を下げた。
まるで息ぴったりの夫婦のように見えた。
しかもどちらも女に見える、いや、女だとしか思えない。
「…そうか…
だったら俺は、かなりイヤだけど、あの男女と結婚しようか…」
俺が腕組みをしてうなづきながら言うと、「…結婚なんてしないよ?」といつものように疑問形で優華が言った。
「…ま、まあ、いいけど…」と俺は優華の真剣な顔に気圧された。
「そんなことよりもね…」と爽太郎が言うと、優華は何度も何度もうなづいて俺を見ている。
「おまえ、言ったの?」「黙ってるわけないじゃんっ!!」
俺の問いに、爽太郎は美人度を上げて少し怒りながら言った。
結婚というイベントに一番近いやつは、実は俺だったのだ。
「断ったぜ」と俺が言うと、優華はかなりほうけていて、爽太郎はさらに美人度を上げて俺に笑みを向けていた。
―― 爽太郎、結婚してくれっ!! ―― とプロポーズしたいほどの超美人だ。
よって、少々冷たい系の美人にはまったく興味がなかった。
「…あー、でも、左遷とか…」と優華が心配そうな顔で俺を見た。
「天下の超一流企業はそんなことはしない。
社員を切るよりも自分の首を押さえておくことの方が大変なんだぜ」
当然のように俺が勤務している企業は世襲制ではない。
巨大企業になればなるほど、社長は頻繁に代わるものだ。
結局社長になってもひと月ももたないので、重役の方が居心地がいいと思っている者も少なくないはずだ。
「確かに社長令嬢は美人だけどな。
そんなもの、改造すればどうにでもなる」
俺が何を言おうが、ふたりは笑顔を見合わせてうなずいていたはずだ。
「俺としては爽太郎が喜んでくれたからうれしいな」と俺が本心を言うと、「まあっ! うれしいっ!!」と言って女性っぽく俺の手に触れてから握った。
―― まるで女のような手だ ――
俺は手から爽太郎の顔に視線を移すと、遠くから男女がオレたちを見ていた。
「おい、雇ったの?」と俺は優華に視線を変えて言った。
蓮迦はすぐに気づいて、「あ、今日だけ?」と言って疑問形で返してきた。
「それほど安くないだろ…
超売れっ子のパティシエなんだから…」
今の姿はまさに女性だが、この席に来ると男に変身する女の山東彩夏だ。
職業としては数店舗の店を構えるオーナーで、さらにタレント、女優としても人気の高い男女だ。
もっとも、本職以外の仕事は受けず、推理ドラマでもストーリーにまったく関係ない役どろこで、ケーキなどを作っているだけだ。
ひどいものになると、二時間のうち彩夏が一時間ほど出ずっぱりのものがあったりする。
「ドラマじゃなくてデザート番組でいいんじゃねえの?」と俺が言うと、「そんなもん知らん! 造れと言われたから造っただけだ!」と男らしい答えが聞けて俺としては満足だった。
テレビでのセリフは女性のものなので、「猫っかぶり」と俺はいつも言って笑っている。
「爽太郎は彩夏とでも結婚するの?」
俺は話題づくりとして言ったのだが、できれば言いたくないセリフだった。
「それはないよぉー…」と爽太郎は本気で困った顔をして俺に言った。
俺としてはガッツポーズものだ。
「しとやかで、まさに女性っていう人が好きだなぁー…」
―― それはあなたです、爽太郎君っ!! ―― と俺は声を大にして言いたかった。
以前一度だけ爽太郎に茶化して言ったことがあるのだが、シクシクと泣かれてしまったのでもう二度と言うまいと心に決めているのだ。
嫌われては元も子もない。
爽太郎と結婚できたら、どれほど幸せだろうと俺は常々思っている。
俺の気持ちを察したのか、優華のホホが少し膨らんでいる。
俺がずっと爽太郎を見ているせいだろう。
いつもこんな感じで俺は優華を怒らせる。
まさに優華は俺の妹としてぴったりの存在だ。
「なんだよ…」と俺が優華を見て言うと、「なんでもないよ?」と言って笑みを俺に向けた。
これもいつものパターンだ。
一段落ついたのか、彩夏がこちらに来ようとしたのだが呼び止められてまた厨房に戻って行った。
「今日は彩夏とは会話できそうにないな…」と俺が言うと、また優華はホホを膨らませて俺を見ていた。
「だから、なんだよ…」と俺が言うと、「怒った振り?」と優華は言った。
優華としては俺を茶化したつもりなんだろう。
当然のように優華に俺の本心を告げているのだが、その時にも爽太郎のようにシクシクと泣かれてしまったので、その時からもう二度と言わないことに決めている。
付き合いにくい幼なじみたちなのだが、俺としては今のこのスタンスが非常にリラックスできるのだ。
「結婚かぁー… まだまだ先だなぁー…」
俺の言葉に、爽太郎も優華も素早く反応して腰を浮かせていたが、すぐに座り直した。
「言いたいことがあるのならはっきりと言ってくれ」
俺は優華と爽太郎を交互に見て言うと、ふたりとも上目使いで申し訳なさそうな目で俺を見ている。
―― 爽太郎をずっと見ていたい… ―― と思ったが、堂々巡りになるのでそれはやめて優華を見た。
すると満を持したのか、優華は立ち上がってから何かを思い出したようにしてまた座った。
そして大きなカバンを重そうにして持ち上げて、テーブルの上に置いた。
ふたを開けて、コピー用紙のようなものが数千枚ほど出てきた。
―― 企画書? ―― と俺はごく自然に思った。
「これ、手紙、読んでね?」と優華はかわいらしい笑みを浮かべて疑問形で言った。
「言えたよ?!」と言った優華は喜び勇んで爽太郎に抱きついた。
―― すっげえうらやまし… ―― と俺はふたりを横目で見ながら、一番上に積まれている紙を手に取ろうとしたのだが、かなり重い。
俺は立ち上がって両手で紙を取ると、一冊がまるで百科事典ほどの重みがある量だったことにさらに驚いた。
しかも、コピー用紙ではなく、異様にかわいらしい便箋だった。
そして表紙に書かれているタイトルを見てぎょっとした。
『佐々木優華 愛の奇跡 第一章』
―― 小説? ―― と俺は思ったが、優華は手紙だと言った。
とりあえず、1ページ目を開くと総合索引があり、第三十章まであるようだ。
「優華、これ、なんだ?
あ、手紙だと言ったよな?」
俺が言うと、「読んでくれたらわかるよ?」と答えたが、この量を読むには最短でもひと月はかかりそうだった。
「俺、それほど暇じゃないんだけど…」と言うと、優華はポロポロと涙を零し始めた。
さらには爽太郎がその魅力的な眼で俺をにらんできた。
本当の美人はどんな表情をしても美人だとさらに認識を深めた。
「…最後だけ読む、とか…」と言ったが、「全部読んでね?」と今度は妙にかわいらしく言われた。
「期日は?
どう考えても読み終えるまで数百時間はかかりそうだけど…」
「あ、それはいいよ?
読んでくれるのなら?」
「俺が結婚した後に読んでもいいか?」
当然のように、これがなんなのか俺はすぐにわかった。
これは優華と俺との生い立ちだと見抜いた。
もちろん、優華の眼から見た俺がどんな存在なのかを面々とつづっているはずだ。
優華は言葉を失って、「ラブレター?」とついに言った。
俺はため息をついて、プロローグから読み始めた。
この手紙がどんな種類のものなのかを書き綴っている。
結局は、優華が覚えている全てを書き上げたようだ。
まさに俺と優華の歴史がここにあると感じた。
「これ、洗脳書、みたいな…」と俺が言うと、「うふ?」とだけ優華は言って笑った。
「洗脳されるかどうか試してやろう」と俺が言うと、優華はまた喜んで爽太郎を抱きしめた。
「あ、俺も、爽太郎を抱きしめていい?」と俺が言うと爽太郎は、「男同士なのに…」と爽太郎はお色気全開で言ったので、「あ、冗談だ」と言って俺はごまかした。
… … … … …
優華の記憶力は抜群で、俺の記憶も呼び起こされたように感じた。
―― 記憶の呼び起こし… ―― と俺は考えた。
ことあるごとにすべてを思い出し、時間が経ってからまた思い出す。
それほどに俺の事が好きなんだなと優華の想いを尊重した。
もちろん俺が覚えていないことも多々あるのだが、全て俺がやりそうなことばかりだし、両親に聞くと覚えていることもあった。
そして俺よりも両親が読み耽り、優華を嫁にすると言い出してしまった。
もちろん両親も優華のことは娘のように思っているので、財産目的などでは当然ない。
「洗脳書だぜ…」と俺が言うと父は、「そう取れなくもないな…」と俺の意見に同意した。
味方ができて何よりなのだが、読み終えたあと俺はどうなるのだろうかと考えた。
なぜか読み終わったものから順に、いつもの予約席に持って行くことになってしまった。
悪魔の洗脳書を彩夏が読みたいと言ったからだ。
優華は何も問題ないようで、彩夏の願いを叶えた。
ラブレターというよりも、俺と優華の歴史書なので読みたいと思って当然だろう。
爽太郎はもうすでに読んでいたようであまり気にしていないように見える。
「そういえば、爽太郎の塾って、記憶術もやってたよな?」
俺が聞くと爽太郎は魅力的な笑みを浮かべて、「第一号の被験者なんだよ」と言って優華の肩を抱いた。
「あ、拓君にもテストしたんだけどね…」と爽太郎は言って苦笑いを浮かべて言葉を止めた。
どうやらオレにはあまり効果がないと診断されていたようだ。
「あー、おもしれえっ!!」と言って男女が笑い始めた。
決して笑い話が書いてあるわけではなく、基本的には優華のラブレターだ。
俺は彩夏がどこを見ているのか覗き見て、「ああ、それは二人が知らないことだったからな」と俺は言った。
「こんなに面白いことをなぜ黙ってたんだ、ごらぁー…」と男女がまるでその筋の者のように言った。
「すぐにそのあとの話しがあったからだ。
今度は四人とも知ってる話だぜ」
俺が言うと彩夏はまだ怒っていて、ひとつ舌打ちをしてから読み始めてすぐに、「ああ、なるほどなっ!! わりいわりい!!」とあまり悪かったという感情なく言われた。
「彩夏は結婚とか考えてねえのかよ」と俺が聞くと、「ああ、考えてねえ」と俺の質問は一刀両断にされた。
今はこの本という名の優華のラブレターに夢中だったからだ。
… … … … …
しばらくすると、ある異変が起こり始めた。
彩夏の言葉使いもしぐさも、まるで別人になってしまっていたのだ。
そして俺に好意がある眼を向けている。
―― 俺じゃなく、彩夏が洗脳された? ―― と俺は思い、優華の顔を見ると、―― 読ませちゃって失敗? ―― といった顔をしていた。
俺はここで、初めての言葉を彩夏に向けた。
「おまえ、ひょっとして俺のこと好きになってないか?」と聞くと彩夏は、「嫌いだったら一緒にいないわよぉー…」と言葉使いは違和感があるが、正論を言ってきた。
「いや、俺を恋愛対象としての好きだ」と言った途端に、「あ、仕事仕事…」と言ってそそくさと立ち上がって厨房に足を向けた。
「俺はしらねえからな」と言うと優華は、「どーしよー?」と疑問形で爽太郎に聞いた。
「あーん、まさかこんなことになるなんてぇー…」と超秀才で天才の爽太郎が色っぽい声をあげて頭を抱え込んだ。
俺としては爽太郎の始めてのしぐさを見て幸せな気分になったので、特に問題はなかった。
「彩夏は俺の性格はわかっているはずだ。
さらに本…
あ、いや、優華の手紙を読んでさらに理解を深めたからこそ逃げた。
彩夏が正常化するのを待った方がいいんじゃねえのかなぁー…」
俺が言うと、優華は肩を落とした。
「もし今、俺が優華と結婚する、
なんてこと言い出したらどうなると思う?」
「ここ、彩夏ちゃん来なくなるって思う…」と優華が間髪入れずに悲しそうな顔をして答えた。
「俺はそれを望んでいない。
今まで通りになってから、返事をするが…
まだ全部読んでないから、
もちろん結婚話は一切しないことに決めた」
俺が言うと、優華はそれは仕方ないことと思い、こくんと頭を下げた。
… … … … …
優華のラブレターを全て読み終わった。
もちろん最後のエピローグの部分には、優華の俺に対する熱い想いが面々とつづられていた。
だが俺としては何も変わらなかったので、これもどうしたことかと思い、どちらにしても結婚話はご破算ということに決めた。
俺としては、何とか爽太郎が性転換してくれないかと、切実に願った。
そんなある日、四人全員そろったのだが、なんだか空気が重い。
ひとりずつ顔色をうかがうと、優華はふてくされ気味で、彩夏は少し怒っているように見えた。
「ケンカしたのかよ…」と俺が言うと、「彩夏ちゃんが譲れって言ったから?」と優華が言った。
すると彩夏は、「私もラブレター書くわ…」と言ったが、俺は丁重にお断りした。
―― おわり? ――
まだ終われなかった。
このままだとモヤモヤするだけだったので、俺の好みをはっきりと告げることにした。
「爽太郎が相手だったらどれほどよかっただろうって思ってるんだ」
俺の感情の込め方がよかったようで、爽太郎は少し迷惑そうな顔をしていたが、優華と彩夏はぼう然とした表情を俺にさらしてから、爽太郎を見た。
「…勝てない…」「…勝てない?」と彩夏と優華がほぼ同時に言った。
「…結婚、したいの?」と優華が俺に聞くと、「女だったらな」と堂々と返事をすると、彩夏と優華が顔を見合わせてすぐに大声で笑った。
一体何がそれほど面白いのかよくわからなかった。
「拓ぅーっ!! 冗談やめろやぁーっ!!」と言って彩夏が元に戻っているように感じた。
「拓ちゃん、何の冗談―――っ?」と言って優華も笑っている。
一体何がそれほど面白いのかよくわからなかった。
「冗談はひと言も言ってねえぞ。
…おまえら、まさか…
爽太郎が女だと思ってずっと付き合ってきたのか?」
俺が言うと、彩夏も優華もまじめ腐った顔でこくんとうなづいた。
「ボク、男だから…」と爽太郎はもうすでに察していたようで苦笑いを浮かべて言うと、まるで衝撃の告白だったようで、「えええええっ?!」と言ってふたり同時に驚いた。
俺も爽太郎も苦笑いを浮かべてからふたりを見た。
「おめえらには、結婚なんてする資格はねえ。
まずは人として修行を積めっ!!」
俺が堂々と言うと、爽太郎は満面の笑みで拍手をしてくれた。
―― ああ、最高の笑顔だぁー… ―― と俺は思って、爽太郎をさらに好きになった。
不毛なのはわかっているが、―― 性転換してくれますように… ―― と俺は初めて神に祈った。
… … … … …
長い手紙についてはようやく決着がついて、俺たち四人はいつも通り楽しく過ごしている。
だがまたこの穏やかな場を乱そうとする者が、俺に少し厚めのファイルを手渡してきた。
「…や、やっぱり、お、俺も書いてみた…」と言って彩夏が俺にラブレターをよこしてきた。
優華は余裕なのか、興味津々で俺の手元を見ている。
ファイルを開いて、手紙を素早く読んだが、俺は苦笑いを浮かべたことだろう。
そして手紙をしまいこんで、「おまえ、爽太郎に硬筆習字習え」と言って突き返した。
「その字しか書けねえっ!!」と彩夏は断言してそっぽを向いた。
「それに、漢字が少ねえ…
さらに誤字だらけ…
辞書引いて調べて書け」
俺がまくし立てると、彩夏はふて腐れた顔で渋々ファイルを受け取った。
彩夏の機嫌が悪くなったが、俺たちのこの予約席は俺のオアシスだ。
―― おわり ――
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