第1話 陰キャ男子、青葉未来参上

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第1話 陰キャ男子、青葉未来参上

      俺の名は、青葉未来(あおばみらい)17歳、練馬区にある都立高校二年生だ。こんな俺には悩みがある。それは、全くモテないと言うことだ。年齢=彼女いない歴のいわゆる「チェリーボーイ」だ。仕方ないがクラスでも目立たなくオタクでスポーツもできない。更には見た目も地味で上手く人とのコミュニケーションも取れない、いわゆる「陰キャ男子」だ。 俺には好きな女子いる、それは、クラスで1番人気の女子 佐伯加奈だ。 彼女は、きれいなロングヘアーが特徴でキリっとした顔立ちの女子だ。例えていうなら北川景子かな。学校内での人気も高く活発な性格で生徒会役員まで務めるアイドル的存在だ。ある日俺が、駅で財布を無くしてしまい困っているときに彼女が声をかけてきてくれた。 「気にしないで、私も一緒に探してあげるから」 彼女は、一緒に探してくれて最終的には機転を利かせ近くの交番に行っておまわりさんに事情を説明すると、財布が届けられていることが判明し彼女は あどけない笑顔で 「見つかって良かったね。」 俺はその時の彼女が、天使の様に思え彼女への想いが日を追う事に強くなり毎日学校で彼女の姿を見るたびに俺と彼女との恋愛ドラマのような妄想ストーリーを描くようになった。 俺の心は、今にも爆発寸前にまで達してしまい遂に彼女に対してある強硬策を実行してしまった。 五月のある日。茜色に空が染まった夕日が校舎を照らす放課後に俺は、彼女を生徒会室近くの物陰で待ち伏せしていた。生徒会が終わり次々と生徒たちが楽しく談笑しながら下校しようとしていた。俺は緊張のあまりまだかと小刻みに足を揺すり爪を噛みながら待ち伏せをしていた。 最後に明かりを消し戸締りを確認する2人の女子が現れた。一人は友達らしき人物でもう一人は、ターゲットの彼女だ。 「友達には、興味ない。俺は彼女に突撃するのみだ。行くぞ! 」 俺は勢いよく彼女の所へ近づいた。闘牛の様に鼻息を荒くし彼女の前に現れると尋常ではない様子の俺を見て顔をひきつらせた。 「青葉君だよね…… どうしたのかな? 」 「佐伯さん。俺あなたの事が大好きです。俺の彼女いない歴記録をストップしてくれるのはあなたしかいないです。だから初代彼女にあなたを任命します」 「ごめんなさい、私チョット、今好きな人がいて…………」 「そんなの気にしないで俺の方が君を幸せにしてあげれるさ」 俺は、強引に彼女の手を引っ張ろうとすると隣にいた友達が止めに入った。 「あんな何なのよ。キモいし。それにそのダサい眼鏡は何よ、 立川志らくかよ。二度と彼女に近づかないで」 女友達に罵声を浴び去られた俺の心は、ポッキーの様に簡単に折れてしまった。その後は、放心状態になりながら一人寂しく下校した。 帰宅して俺は、机の上にあるパソコンの電源を入れた。俺の部屋は、美少女キャラのポスターやフィギアで部屋が埋め尽くされており如何にも初対面の人間が遊びに来たら引いてしまう雰囲気だ。 いつもの様に動画配信サイトにログインをして俺がデザインをしたバーチャルガール「春風美音」(はるかぜみおん)を使った動画配信を行っていた。自慢じゃないが俺の配信チャンネルは、上位トップ10にランクインするほどの人気だ。 リスナーのお悩み相談を聞いてDQNやいじめっ子キャラを成敗すると言う世直し内容や歌を披露したりしていた 美音は、1歳下の16歳で水色の澄んだ瞳に セーラームーンのようなコスチュームに青髪のポニーテールが特徴で性格は、俺の理想の女子である清楚で何でも言うことを聞いてくれる妹的ポジションで設定している。ちなみに美音は、DQNを簡単にやっつけるために雷属性の力を使うことが出来る。とまあ俺が勝手に妄想で設定したのだが こんな俺にも絵を描く才能とパソコン技術とSNSのコミュニケーション力に長けていた。 「今日も学校お疲れ様でした。ご主人様」 「ああ、ただいま美音、お前は俺の理想の彼女だ」 俺は、パソコンに向かって美音に話しかけながら液晶画面に抱き着きキスをしていた。心の中ではかなわぬ恋だと思っているが美音といると一番安らぐのだ。 そして、いつもの様にリスナーからのお悩み相談から始まり最後には、美音の歌とダンスを披露すると言う内容でその日の生配信は終了した。この日もリスナーからの多数の応援メッセージが届き俺は、そのメッセージに心を癒されていた。 しかし、数日後俺の平穏な学校生活を狂わせる大きな出来事が起きた。 キーンコーンカーンコーン この日も無事授業が終わり荷物をまとめ早く帰宅して今日の配信を行うため急いで教室を後にしようとした瞬間、背後から俺を呼ぶ優しい声が聞こえた。振り向くと声の主は、佐伯加奈だった。 「青葉君、この前はごめんね。今時間あるかしら?」 「ええ、どうしたの? 」 「急ぎだったらごめんね。実は青葉君にお話があるんだ」 「全然急いでないよ。むしろ暇で寂しい毎日を過ごしているよ」 俺は、生配信のことなどさておいて彼女に付き合うことにした。今思えばこれが人生最大の危機を迎えようとは誰も想像していなかった。
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