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前略、風 様
四つの季節の変わり目は、
必ず窓が鳴いている。
風向きも以前とはだいぶ変わり、
それまでのらしい風と匂いは一変する。
鳴いているだけなのに、
窓がぼくに語りかけているかの様に、
心にも伝わり返事をしたくなる。
人の心は何時もお喋りで、
言えない事を閉じ込めて喋っている。
窓と話してみようかな?
文字にも声にもならない会話、
今年ももう直ぐ半分季節を過ぎると言う。
後半の季節の入り口だからと、
人より早くに支度しろと。
去年の君と今の君、
何か変わった様子はあったかい?
去年の今頃は何をやっていた?
もう少し力まずこれからは生きてみなよ?
まだまだ間に合うからさ!と、
窓が言っている様で、
ぼくは、宛名を"風様"にして
手紙を書く事にした……。
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