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「いつになったら家に帰してくれるの?」
「……」
「最初から私が誰かを知っていてこんな事をしたの?」
「……」
「最初から計画的に…あの公園の時から私を狙っていたの?」
「……」
「なんで私なの?これは…誘拐なの?」
「……」
「うちから身代金を奪うための誘拐だっていうの?」
「……」
「どうして…どうして私なのよ!」
「……」
「あなたは一体何者なの──?」
「……」
私の矢継ぎ早の質問に男は眉ひとつひそめず無表情に訊いていた。
「ちゃんと答えてっ!」
「──ははっ、凄いな」
「え」
男は無表情から一転、破顔してケラケラと笑い出した。
「流石だな。俺、あんたのことちょっと甘く見ていたかもしれない」
「……」
「質問……質問…質問、質問──に答えてください、か」
「……」
「それって質問に答えたらガンガンヤリまくっていいってことだよな」
「! そんなことっ」
恐ろしいと思っていた男に対して少しだけ心の緊張感が緩んだ。最初にときめきを感じた彼に一瞬戻ったような気がしたから。
「そうだ。いいこと思いついた」
「えっ」
男はニヤリと笑って私にある提案を持ちかけたのだった。
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