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act.1 悪夢
「……ん」
とても長い長い夢を見ていた気がした。
「……」
ぼんやりと意識が浮上して来る。薄く開いた瞼からぼやけた視界と淡い光が目に入った。と、同時に下腹部に鈍痛が走った。
「うっ」
ズキンズキンと脈打っているかのようなズクズクした痛みに顔をしかめていると急に視界に影が差し目の前に見知らぬ男が現れた。
「目、覚めた?」
「っ!」
「参ったなぁ…。手加減していたつもりだったのにあぁもあっさりイカれるとは。ひょっとしてあんた、意外とスキモノなのかな」
「……」
先刻から何をいっているのか分からない。それに薄っぺらい笑いを浮かべながら訳の解らないことをいっているこの男に見覚えはない。
(見覚え……)
いや、知っている。私はこの男を──
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