手紙

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なんとなく気が向いたので、普段めったに人が来ない3階の渡り廊下へ行ってみた。 この時間帯のここはとても日当たりが良く、落ち着くのだ。 手紙はのりでしっかりと封がされていた。 仕方がないので手で破って開けてみる。 中からは封筒とお揃いの柄のレターセットがでてきた。 早速、開いて内容を確認してみる。 『海西高校のフルートの男の子へ 突然のお手紙でごめんなさい。 えーっと、この前のミュージックフェスティバルの合同合奏で隣になった宇佐美 花です。 覚えていらっしゃるでしょうか? あの日1日しか会ったことがないのにおかしいかもしれませんが、もし、よろしければ私とお友達になってください。 この手紙があなた以外の誰かに読まれることなく、あなたの元へ届くことを願っています。』 最後に、彼女の家の住所が書いてあった。 その日からだ。 携帯を持たないという、うさぎちゃんと文通をするようになったのは。
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