手紙

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それから、間もなくした頃だ。 昼休みに顧問から呼び出された。 むちゃくちゃビビりながら職員室に入る。 「先生…」 「よお、高濱。すまないな、わざわざ呼び出して。」 と、眠そうな声が返ってきた。 俺の顧問は元クラリネット奏者でキレると結構怖い。 「実はな、学校にこれが届いていてだな」 先生は茶色い封筒を取り出した。 封は切ってある。 「宛先が海西高校だったもんだから、開けてみたんだが…」 先生が、封筒の中身を取り出すとそこからはさらに小さな封筒が出てきた。 桜の絵が描いてある薄いピンクの封筒。 宛先にはフルートの男の子へと記されていた。 うちの吹奏楽部のフルートは3年生が引退してからは俺しかいない。 わざわざ『男の子』を付けなくても俺しかいないのに… 先生から封筒を受け取る。 封筒の前も後ろも見てみたが、差出人は、記されていなかった。 差出人に心当たりはなかったが、とりあえずお礼を言って職員室を出た。
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