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麻里奈に高木さんとのことを報告した。
「へぇ〜、高木さんかぁ、いいんじゃないの?つき合っちゃえば?」
「無理、まだとてもそんな気になれない。」
「真面目だね、優香は…。
次の恋が、前の恋を忘れさせてくれるよ?」
「確かにそうなんだろうけど、こっちがダメだからって、すぐにあっちとか無理だわ。」
「いやいや、そんなもんだよ〜。」
「そんなもん…、ですかぁ。」
「だよ。」
「いい!やっぱり止めとく。真面目で結構。」
「そか、優香ならそう言うと思ったよ。」
そう言って、麻里奈は笑った。
器用じゃないからね、私は。性分なんだから仕方ないよ。
こんな不器用な人間がいても良いんじゃないの?周りが迷惑でなければだけど…。
麻里奈との会話を終わりにして、私は仕事のことを考えた。
次の会議までに、案を練り直してまとめないとね。
初めての大仕事だよ!頑張らないと。
翌日は、朝から課長や先輩方にアドバイスをいただきながら、必死に企画書をまとめ上げた。
「よし、これでOKだな!と言いたいところなんだがな、問題が一つあるんだよ。」
課長から何やら不穏な言葉が…。
「何か、不手際でもありましたか?」
「いや、冴木のミスとかじゃない。
デザインなんだが、いつもお願いしているデザイン事務所の河合さんなんだけど、体調が悪いらしくて入院中なんだよ。
他に仕事を何件も抱えているのを、若い子たちで何とかやってるみたいなんだけど…、河合さんじゃないとなぁ〜。」
「デザイン事務所ですか?」
うーん、全然、心当たりがない。
「それでさ今朝、営業の市川課長に相談してみたんだよ。そしたら、知り合いがデザイン事務所をやってるらしくてな。
紹介してもらったんだけど、いろいろ幅広い分野で手広くやってるデザイン事務所みたいだ。
アールデザイン事務所って言うんだけど、知ってる?」
「いえ、存じ上げません。」
「だよなぁ。
午後の会議の後でアールデザイン事務所の営業と所長が来るから、冴木も同席出来るな?」
「もちろん、問題ありません。是非、同席させてください。」
わぁ〜、いよいよ本格的になってきたぞ!
よっしゃー、頑張らなきゃね。
ふっふーん、
また今井が、チラ見してやがる〜!
今に見てろよ。
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