恋と仕事

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高木さん、 お話をしたことはないけど、社内で人気が有る人なのは知っている。 いわゆるイケメンとかではないけど、大学でラグビーをしていただけあって体格がとてもいい。 笑った顔が可愛くて、そのギャップが良いんだと麻里奈が言っていたのを思い出した。 高木さんは、少し緊張した面持ちで私に、 「駅前のカフェでいいですか?」 「あ、はい、いいですよ。」 と答えると、安心したようににっこりと笑った。 これか〜、人気の秘密の笑顔!なるほど〜。 いい人そうだな。 カフェに入り席に案内され、私は紅茶を、高木さんはブレンドコーヒーを注文した。 飲み物が運ばれるまで、本題に入る気はないらしい。 「夜は、やっぱり冷えますね?」 と高木さんが言ったので、 「日中は暖かいから、つい上着を忘れちゃうんですよね。」 と私が言うと、彼はとても真面目な顔をして、うんうんと頷いている。 そんな真剣な話じゃないのに…。 なんだか可笑しくて私がクスクス笑うと、高木さんは顔を真っ赤にして頭を掻いた。 そこへ飲み物が運ばれて来たので、私は温かい紅茶をひと口飲んだ。 「美味しい…。 ちゃんとお話しするのは初めてですね? 高木さん。 それで、私にお話ってなんですか?」 私の問いかけに、 高木さんは、コーヒーをゴクリと飲んで、 「あちぃっ!」 「わぁっ、大丈夫ですか?高木さん!」 彼は少し涙目になりながら、慌てて水を飲んだ。 「猫舌なんです、俺!」 高木さんが、とても緊張しているような気がするんだけど…。 もしかして、もしかして? これは私、告られる?
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